「総合的な学習の時間」の単元の指導計画について

<このページの趣旨と主な内容>
 平成15年10月の中教審答申では「総合的な学習の時間の一層の充実」が求められています。(第2章「新学習指導要領のねらいの一層の実現を図るための具体的な課題等」)
 具体的には
 @学習指導要領の記述を見直し、その趣旨を一層明確化
 A各学年の「目標」・「内容」を含めて「学校としての全体計画」の作成
 などがあげられています。
 県内でも「総合的な学習の時間」の趣旨に即した創意工夫あふれる取組が行われる一方、今後、より一層の指導計画の充実が求められると思います。
 そこで、「総合的な学習の時間」の「単元の指導計画」について、平成13年9月に県教育委員会から出された「『総合的な学習の時間』のガイドライン」に立ち返って、再度、整理をしてみました。各学校での計画づくりの参考にしてください。(以下、枠内は「ガイドライン」による)

 1.単元の指導計画作成のポイント 
 2.作成上の留意点 
 3.単元の指導計画の項目例 

1.単元の指導計画作成のポイント

 平成13年9月に県教委から出された「『総合的な学習の時間』のガイドライン」(以下、「ガイドライン」という)では、単元の指導計画のポイントを以下のように示しています。
 その活動で育てる力を目標に明示し、一連の学習活動の中でどんな内容の学習に取り組み、どの場でどのような力を発揮させ伸ばそうとするか、またどう評価するかを示す。
  「育てる力」は「ガイドライン」の最初でも述べているとおり、「総合」で育てたい力として、「総合」をはじめる際に学校で設定してあると思います。この力は、学校の教育課題等から設定されていると思いますが、究極的には指導要領に定められた「総合」の二つのねらいに結びつくものであることを確認していくことが必要です。ここがあいまいになると、特別活動や教科の学習との混同がおこり「総合」のねらいの達成が難しくなります。
 <指導要領に示されたねらい>
@ 自ら課題を見付け、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、よりよく問題を解決する資質や能力を育てること。
A 学び方やものの考え方を身に付けること、問題の解決や探求活動に主体的、創造的に取り組む態度を育成すること、自己の生き方を考えることができるようにすること。
 
 思い切って要約すれば、@は「問題解決能力の育成」、Aは(主体的、創造的な態度育成などを通じて)「生き方を考えさせる」と整理できるのではないか思います。
 その単元を通じて、この二つのねらいに迫っているか、そのためにどのような指導(手立て)が講じられているか、それをどこで検証(評価)しようとしているのかと言うことが指導計画として問われてくるわけです。
 また、この二つにねらいは指導要領で「次のようなねらいをもって指導を行うものとする。」とされていることに注意する必要があると思います。往々にしてこの二つのねらいを方法と混同して、子ども任せの活動が見られます。そうではなくて「自ら課題を見付け」られるように、「自ら考え」るように指導を行う(単元を構成する)ことが求められているのです。
<補足>
 平成15年12月の学習指導要領の一部改正等により、「総合」には次のねらいが付け加わりました。
B 各教科、道徳及び特別活動で身に付けた知識や技能等を相互に関連付け、学習や生活において生かし、それらが総合的に働くようにすること。
 このことは全く新規に付け加わったことではなく、平成15年10月の中教審答申での「学習指導要領の記述を見直し、その趣旨を一層明確化」することを受けて、従前、解説の中で述べられていたことが、3つ目のねらいとして位置付けられたものです。このことだけを取り上げるのでなく、従来の@、Aのねらいをすすめるなかで、各教科等との関連に十分配慮することが大切です。

2.作成上の留意点

 「ガイドライン」では、作成上の留意点のポイントとして以下の4点を示しています。
@ 指導計画には、少なくとも次の内容を盛り込む。
  単元名、目標、主な学習内容・活動、時数、配慮事項、評価の観点・方法
 目標は、単元のねらいの中心となるものを端的に一文で表すのがよいと思います。表現は「〜することを通して、〜を学び(の理解を深め)、〜することができる」と言ったように「学習活動」「学習内容」「育てる力」がわかるように書くのがよいと思います。
 目標の例)
  • 障害のある人の願いを知り、自分には何ができるのかを考え、計画し、行動することを通して、相手を尊重することの大切さを学び、これまでの自分の考え方を問い直すことができる

 その上で、「ガイドライン」の項目に加え、各学校の「育てる力」に応じた観点ごとの達成したい子どものおおむね満足の姿、つまり「単元の評価規準」を記述すると単元全体のねらいと評価の観点が明確になると思います。
 上の例で、その学校で育てたい力が「課題発見力」「問題解決力」「表現力」「問い直す力」だとしたら次のような評価規準が考えられます。
 評価規準の例)
  • 疑似体験やゲストティーチャーとの出会いを通して、障害のある人の願いを知り「自分にできることをしよう」という課題を設定する。(課題発見力)
  • 自分にできることを障害者の願い、実現の可能性から検討し、意義のある活動を実現させる。(問題解決力)
  • 活動をすすめる過程でかかわった人たちに、自分の取り組みや考えを分かりやすく伝える。(表現力)
  • 活動の振り返りを通して、相手を尊重することの大切さやボランティア活動の意義について問い直す。(問い直す力)     

A 追究過程について学校として基本型を設定し、それを踏まえることで特色が生まれ、
  統一がとれる。しかし、無理に型に押し込めないよう注意する必要がある。
 追究過程ついては、基本的には問題解決の過程にそった4つ程度の過程で構成するのが分かりやすいと思います。
 その際、上で述べた「育てたい力」との関連を考え、どの場(過程)でどの力を主に伸ばそうとしているのかを結びつけて追究過程を構成するとよいと思います。
 上の例でいえば、次のような過程の構成になると考えれます。また、(  )のようにより学習の過程にそった表現にすることなども考えられます。
 追究過程の例)
 @ 問題発見(つかむ)
 A 問題解決(追究する)
 B 表現(あらわす)
 C 問い直す(振り返る)
*上の過程を単線的にとらえるだけでなく相互に関連させて構成することも考えられます。

B 個別中心や課題別集団、異学年集団あるいは全員一斉など、活動や体験の
  形態を示す。
 共通の土台としてのゲストティーチャーの講話は全員一斉で、選択課題による追究活動は課題別集団でと言ったように活動や体験のねらいにあわせて適切な形態を工夫する。

C 一連の活動の中に、節目ごとに、子どもが自己評価したり、相互評価したりする場
  を確保する。
 ポートフォリオ等を活用して、自分の学びの足跡を振り返ったり、それをもとにグループで話し合ったりして友達からの意見を得ることも考えを深める上で有効です。また、ポートフォリオを前にしての教師と子どもの面談なども有効です。

3.単元の指導計画の項目例


○○学年「総合的な学習の時間」(各学校の「総合」の名称など)指導計画

 1 単元名
  (「単元名」(時数))
 2 目標
  (一文で) 
 
 3 単元の評価規準
  (観点別に) 
  
 4 単元設定の理由
  (単元の価値や児童(生徒)の実態等)
  
 
 5 指導の構想
  (単元のすすめ方の概要、中心となる活動等の構想など単元の中心部分の概略)
 
 
 6 指導と評価の計画 (前ページの「福祉」単元の例 (参考資料:「虹の輪タイム」H13(附属新潟小))
過程
(時数)
学習活動・内容(時数) 形態 評価の視点(評価方法)





(6)


○フリートーク「○○は住みよい町か」(1)
 「○○は住みよい町か。点数をつけると何点か。」
 自分なりの根拠をもって点数をつけ、話し合う。
個別
一斉
・自分の見聞の中から根拠もって点数をつけ、話し合う(ワークシート、観察)
○「○○町 徹底調査」(2)
 障害のある人の視点で地域を歩き、住みよさを見つめ直す
課題別集団 ・予想を立てて調査を行い、その検証をもとに見つめ直す(調査計画、レポート)
○「車いすに乗った○○さんとの出会い」(1)
 障害のある人をゲストティーチャーに迎え、お話を聞く
一斉 ・想像、共感しながら話を聞く(観察、対話)
○「障害のある人とのかかわり方は?」(2)
 これまでの学習をもとに意見交換する場を設け、学級全体の追究課題を設定する
グループ
一斉
・これまでの学習をもとに自分にできることを考え、意見交換し追究課題を設定する(ワークシート、観察)



(以下略)
*「評価の視点」は児童・生徒の学習状況にかかわる資料を収集する際の視点であり、おおむね満足できる状況を示している。

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