「総合的な学習の時間」の単元の指導計画について

T 単元開発の流れとポイント

 文部科学省の委嘱調査研究(『 「総合的な学習の時間」の年間計画作成等に関する実践研究 実施報告書』(総合的な学習の時間調査研究会 代表者:酒井朗(お茶の水女子大学子ども発達教育研究センター))では単元開発の流れを下の図のように示しています。
             (上記報告書資料「「総合的な学習の時間」単元開発ワークブック」より)  @については県のガイドライン(H13.9)でも最初のポイントとして示されています。
 Aは単元を構想する際の参考になります。どこから手を付けてもこの3つのことを押さえることが大事です。
 その際、担当任せにしないで「素材の教材化」などの作業を共同化していくとよいでしょう。
 B単元計画を具体化する際は、それぞれの活動、過程でどんな力を身に付けさせようとしているのか明確化することが大事。そのことで評価、修正が可能になります。

U 単元開発のためのワークシート例

 上記の報告書(単元開発ワークブック)に示されているものを参考に、当センターの研修講座での演習用に単元開発の各段階にあわせたワークシートを作成しました。演習での感想等も含めて紹介します。
 各ワークシートの下のファイル名をクリックするとファイルがダウンロードできますので、自校の課題にあわせた校内での研修会等に活用ください。
@ねらいの明確化の段階
 高等学校の講座受講者のアンケートでは、配当時間も少なく単発的な取組に終わりがちであるという課題が見られました。 
 そこで、自校の「総合的な学習の時間」の全体を振り返り、「ねらい」の妥当性やねらいに沿った単元の流れ等を確認する際のワークシートとして、右のワークシートを作成しました。
 講座では主に高等学校部会の演習で使用しました。「我が校ならでは」「我が校でこそ」といったテーマ設定を考えるうえで活用ください。 
<使い方> 
  • ワークシートの空欄をかけるところから埋めてみる。
  • 上半分の欄で埋められないところがあれば、その項目での現状分析・把握ができているのか確認し、ねらいとの整合性を考えてみましょう。
  • 下半分では、具体的な一つの単元なりテーマなりを取り上げ、単元の流れや目標が達成されたときの具体的な生徒の姿、取り上げている教材などのつながりを検討してみましょう。
  • 最後に、全体を見て空欄の多い部分や全体のつながりについて確認してみましょう。

PDFファイル(8K)
Excelファイル(24K)
A単元構想の段階
 中学校の講座受講者アンケートでは、問題解決的な学習のノウハウの蓄積が少なく、調べ学習が生徒任せになったり、学年総合のかたちが多く、計画から資料作成まで「総合」担当者の負担が大きくなりがちといった課題が見られました。
 そこで、単元構想を協働で行い、問題解決的な学習のイメージを共有したりすること際のワークシートとして上記の研究報告書(「「総合的な学習の時間」単元開発ワークブック」総合的な学習の時間調査研究会)を一部改作し、右のようなワークシートを作成しました。
 講座では主に中学校部会で紹介しました。素材から思い浮かぶ学習内容、学習活動を洗い出す過程を共同作業として重視すると、互いの専門性を生かしながら学習活動のイメージを高めていくことができます。また、こうした共同作業がそのまま生徒のイメージ作りなどの指導場面でも活用できると思います。


B単元計画を具体化・改善していく段階
 小学校の講座受講者アンケート等では、@授業のねらい(教師の願いなどもふくめて)が曖昧、A1時間1時間の活動で身に付けさせたい力が明確になっていない、B課題発見から課題設定までの指導過程が不十分、C各教科で付ける力と総合で必要な力の関係が明確になっていない、といった課題が見られました。
 そこで、教材や大まかな指導の流れができた段階や、年度の終わりに次年度の計画を立てる段階で、この単元でどのような力を付けたいのかを明確化し、そのための指導の手立てを考えてみるワークシートとして、右のワークシートを作成しました。
 <使い方>
  • 教師の願いを書き出す
    1. どのようなモノ,こと,人と出会わせるか
    2. どのような問題を見出して欲しいか
    3. どのような課題意識を持って欲しいか
    4. AとBを区別して意識できるようにする
  • 子どもの学習活動を書く→子どもがどんな活動をしていくのか考える
  • 身に付けさせたい実践スキルを書く→活動の中で身に付けさえたい実践スキルや,必要とされる実践スキルを書き出す。
  • 教師の手立てを書く→実践スキルにおいて必要な指導内容も加えていく。
 【ポイント】
 問題を見出してからそれを課題設定できるまでをじっくり考える。
 ・追究する方法や追究する計画などの見通しを子どもが持てるか
 ・安易な調べ学習に陥っていないか            をチェック
 

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Wordファイル(29K)

V まとめ

<単元構成のポイント>

小学校 
  • ストーリー性のある単元構成

中学校
  • 再度、「総合」の視点からの見直しと組織化

高等学校
  • 「我が校ならでは」のテーマ設定
 県内外の事例検討から各校種別の単元構成のポイントを探りました。前述のワークシートとともに参考にしてください。
 ア 小学校
 「学級総合」が多い。ストーリー性のある単元構成で追究課題やゴールを明確にするとともに、その活動で付けたい力やそのための手立てを明確にしていくことがポイント。最初のステップは学習集団としての学級の共通の課題を想定すること。その際、直接体験や繰り返しかかわる学習が有効であることから地域の資源の生かし方が学校の特色に。
 イ 中学校
 「学年総合」が多い。学級を超えて生徒と教師が大まかな方向性と学習の流れを共有化することがポイント。最初のステップは、これまで行ってきた活動を「総合」の視点から見直し、組織化すること。その際、有用感、成就感の味わえるゴールを明確にし、中学生らしい追究が引き出せるカリキュラム編成が学校の特色に。
 ウ 高等学校
 配当時間も少なく単発的な取組に終わりがちである。「我が校ならでは」「我が校でこそ」といったテーマ設定がポイント。最初のステップは、遠回りのようでも我が校らしさや学校課題の明確化といったSI(スクールアイデンティティ)の検討が大切。それがイコール学校の特色に。そのためには、誰かが具体的な展開をともなった実施計画まで詰めるがんばりも必要。

 全体では、「総合」の3つのねらいに迫るための課題を想定し、意識を高め、追究の道筋を構想すること、その中で、本物の「ひと・もの・こと」との出会いとかかわりをどう作っていくかがポイント。

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